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お願いとおススメ

営業という仕事をしていると、「お願いしたくなる瞬間」が必ずあります。

この物件を買ってほしい。
この契約をまとめたい。
この案件を任せてほしい。

営業として日々仕事をしていると、こうした感情は自然と生まれてきます。
自分が時間をかけて準備し、調査し、提案を組み立ててきた案件であればあるほど、その気持ちは強くなります。

お客様にとって良い選択だと思える提案をしている時ほど、「ぜひ進めてほしい」という想いは強くなるものです。

営業という立場である以上、そう思うことは決して悪いことではありません。
むしろ、仕事に対して真剣に向き合っている証拠だとも思います。

ですが私は、営業において「お願い」をしてはいけないと考えています。

それは精神論ではなく、長くこの仕事を続けていく中で感じてきた、一つの確信でもあります。

営業という仕事は、商品を扱う仕事であると同時に、「判断」を扱う仕事でもあります。
お客様の大きな決断に関わるからこそ、営業の姿勢や言葉の選び方は、想像以上に大きな影響を与えると感じています。

■お願いをした瞬間に、営業は下になってしまう

営業をしていると、契約が目前まで進むことがあります。
あと一歩で成立する。
そんな場面で、つい言いたくなる言葉があります。

「ぜひお願いします。」
「なんとかご検討いただけませんか。」

この言葉は、一見すると謙虚で丁寧に聞こえます。
実際に、礼儀として正しい表現でもあります。

ですが私は、この瞬間に営業はお客様より下の立場に立ってしまうと思っています。

営業がお願いをしてしまうと、その取引は「提案」ではなく「依頼」になってしまいます。

提案というものは、本来対等な関係の中で行われるものです。
お客様にとって価値がある選択肢を提示し、その判断を委ねる行為です。

しかし、お願いという言葉が入った瞬間に、
営業は「契約をしてもらう側」、
お客様は「契約をしてあげる側」
という構図が生まれてしまいます。

正直、私はそう言いてしまう営業の気持ちもわかります。

さらにこの構図は、営業自身の心理にも影響を与えます。
お願いをしている状態では、冷静な判断が難しくなり、契約を優先する思考に偏りやすくなります。

そして依頼になった瞬間に、
お客様は「判断を任された立場」ではなく、
「頼まれている立場」に変わります。

この関係性は、表面上は成立しているように見えても、長く続く信頼関係には繋がりません。

■お願いは、時として信用を削ってしまう

営業がお願いをすると、そこには必ず「営業側の都合」が透けて見えます。

今月の数字を達成したいのかもしれない。
会社として契約が必要なのかもしれない。
案件を成立させたい気持ちが強いのかもしれない。

もちろん、それらは仕事として当然存在するものです。
営業という職業である以上、成果を求められるのは当たり前です。

ですが、お客様にとって重要なのはそこではありません。

お客様が知りたいのは、
「この提案は自分にとって本当に良い選択なのか」
という一点だけです。

営業の事情が見えた瞬間、
提案の純度は下がります。

提案が「お客様のため」なのか、
「営業のため」なのか、
その境界が曖昧になってしまうからです。

そして純度が下がるほど、信用も薄れていきます。

信用というものは、とても繊細なものです。
一度失ってしまうと、取り戻すには長い時間がかかります。

だからこそ私は、「お願い」という言葉には特に慎重でありたいと思っています。

■営業はお願いをする仕事ではなく、おススメをする仕事

私は営業とは、「お願いをする仕事」ではなく、
「おススメをする仕事」だと思っています。

ここでいうおススメとは、単に商品を勧めるという意味ではありません。

その人にとって本当に価値がある選択肢を提示すること。
そして、その判断材料を正しく伝えること。

不動産であれば、利回りや価格だけではなく、
将来の修繕リスク、エリア特性、出口戦略、資金計画など、
多角的な視点から提案を組み立てる必要があります。

そしてそれらを、専門知識が無い方でも理解できる形で整理し、
納得感を持って判断できる環境を作ることが重要だと考えています。

もし本当に良い提案が出来ているのであれば、
営業がお願いをする必要はありません。

なぜなら、お客様自身が必要だと判断されるからです。

■おススメには、覚悟が必要

ただし、おススメをする営業には覚悟が必要です。

本当にお客様に合っているのかを考える覚悟。
メリットだけでなく、デメリットも伝える覚悟。
場合によっては「今回はやめた方がいい」と言う覚悟。

おススメという言葉は、一見すると前向きな言葉に見えます。
ですが本当のおススメとは、必ずしも契約に繋がるものではありません。

私は過去に、お客様に対して「この物件はやめた方が良いと思います」とお伝えしたことがあります。

当時、その判断は営業として正しいのか悩みました。
契約が無くなる可能性も当然ありましたし、自分の判断が間違っている可能性もありました。

ですが結果として、そのお客様は数ヶ月後に別の物件を購入され、
再び私に相談してくださいました。

その時に言われた言葉があります。

「売るためじゃなく、ちゃんと考えてくれていると感じた。」

この言葉をいただいた時、
営業にとって最も大切なのは契約の数ではなく、
信頼関係なのだと改めて実感しました。

そしてその経験は、私の営業観を大きく変える出来事にもなりました。

■おススメが出来る営業は、逃げない営業

おススメをするということは、責任を持つということです。

なぜ良いと思うのか。
どんなリスクがあるのか。
将来どういう可能性があるのか。

それらを説明し、判断材料を提示し続ける必要があります。

提案をした以上、その提案には根拠が必要です。
そして、その根拠をお客様に理解していただく責任もあります。

お願いをする営業は、
時として判断をお客様に委ねすぎてしまいます。

ですが、おススメをする営業は違います。
提案に責任を持ちます。

逃げずに説明を続け、
質問に向き合い、
時には不安にも寄り添う。

そうした積み重ねこそが、営業としての信頼を築いていくと感じています。

■私たちが大切にしている営業の形

私たちの会社では、「売る営業」ではなく
「提案する営業」を大切にしています。

契約を増やすことだけを目的にすれば、
お願いをする方が早い場面もあるかもしれません。

数字だけを追いかければ、短期的な成果は出る可能性があります。

ですが、それは長く続く仕事の形ではありません。

お客様にとって必要な提案をする。
必要がなければ、無理に勧めない。
そして、本当に価値があると思えるものだけをおススメする。

この姿勢を守り続けることは、決して簡単ではありません。
ですが、その積み重ねこそが、会社としての信用を作ると信じています。

そして、その信用こそが、結果として会社の成長にも繋がると考えています。

■最後に

営業は、人と人との仕事です。

だからこそ、立場の上下ではなく、
対等な関係で向き合うことが大切だと思っています。

お願いをする営業ではなく、
自信を持っておススメが出来る営業でありたい。

そしてお客様にとって、
「売られた取引」ではなく、
「納得して選んだ取引」を提供し続けたいと思っています。

営業とは契約を取る仕事ではなく、
お客様の人生の選択に関わる仕事です。

その責任を忘れず、
これからも一つ一つの提案と向き合っていきたいと思っています。

それが、私たちが目指している営業の形です。

代表取締役

不動産投資は、運や偶然で成功するものではありません。 私は、すべての出会い・判断・結果には必然の理由があると考えています。 だからこそ、一つひとつの案件に責任を持ち、確かな情報と戦略で最善の道を導き出すことを信条としています。 投資は「物件を買うこと」ではなく、「未来を築くこと」です。 お客様の資産形成を長期的に支え、信頼できるパートナーとして寄り添い続けます。 偶然に頼らず、必然を積み重ねることで確かな成果を。 その成果を、信頼としていけるよう全力で取り組んでまいります。

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